●かんべえの不規則発言



2025年6月 






<6月13日>(金)

〇あらららら。イスラエルがイランの核施設を攻撃しちゃいました。アメリカが制止しても、言うことを聞きゃあしない。「惜しまれて死んでいくよりも、嫌われて生き延びたい」というのがイスラエルの国是であるなら、それはまあ仕方がない。ただし、それ以外の良からぬ思惑も絡んでいそうです。

〇つまりネタニヤフさんは、ここまで勝ち過ぎた。最初は23年10月7日のハマスによるテロ攻撃への反撃から始まった。しかるにテロを許してしまった時点で責任は重大で、「これが終わったら、アンタ辞任ね」という国内的なムードであった。

〇ところがイスラエル軍はガザ地区で赫々たる戦果を挙げ、ハマスの重鎮を次々に血祭りに挙げていった。その辺で止めておけばいいものの、ご本人はなにしろ汚職容疑で起訴されているので、首相を辞めたらそのままどうなるかわからない。戦線を拡大し続けていくしかないのである。

〇幸いなことに、去年はレバノンのヒズボラを相手に、モサドによる「ポケベル攻撃」という画期的手法を発動し、これもほとんど無力化してしまった。「代理人」たるハマスとヒズボラがこれでは、イランは手足をもがれたも同然である。しかもシリアのアサド政権まで勝手に倒れてくれた。古い表現で恐縮だが、これでは「だんだん良くなる法華の太鼓」である。

〇かくしてネタニヤフは止まらなくなった。いよいよイランという本丸に手を付けた。アメリカが反対しても、言うことを聞きはしない。イランの核施設のみならず、司令官や長距離攻撃能力も叩くとのこと。たぶん勝ってしまうんだろうな。

〇ここまで来ると、トランプさんも怒り心頭だろう。大統領になってから間もなく5カ月、どれひとつ戦争を終わら得られないどころか、新たな戦争の発生を手伝わされそうになっている。インド対パキスタンに続いて、イラン対イスラエルも危うくなってきて、いよいよ世界は地政学リスクの花盛りである。

〇ネタニヤフ首相の「悪乗り」を止めるためには、彼の軍事行動が手痛いしっぺ返しを受けなければならない。しかるに連戦連勝が続いている。ここまで来ると、勝っているからこそ止められない。こういうのはどういう形で終わるのか。「国際社会が止める」とか、「アメリカが止める」ということは考えにくい。果てさて、どういうことになるんだろう。


<6月15日>(日)

〇この週末、いろんなことが続いて起きています。

〇ワシントンDCの軍事パレード。陸軍の創設250周年を祝うと言いつつも、トランプさんの79歳の誕生日を祝っているとしか思われない。首都でのパレードは1991年6月以来とのことだが、それってワシがワシントンに居た頃である。あの当時、パレードの正式名称は”Welcome Home Celebrations”と言って、湾岸戦争でイラクから無事に帰ってきた兵士たちを祝う集いでありました。純粋に軍事力を誇るようなパレードは、民兵主体の伝統を持つアメリカさんにはふさわしくないとワシ的には思います。

〇そのトランプさんは、とうとう日本製鉄のUSスチール買収を認める。日鉄さんの粘り勝ちで、完全子会社化で決着です。「黄金株」とか「国家安全保障協定」というのは、トランプさんが方向転換するためのいわば「方便」であって、象徴的なものだと考えた方がいいでしょう。問題はこれで明日のマーケットがどう評価するかです。普通に日本製鉄のストップ高でいいんじゃないかと思いますが、意外とそうじゃないのかもしれません。

〇イラン軍によるイスラエルへの報復攻撃始まる。ただしミサイルやドローン中心という点に、いかにも限界がありそう。「アイアンドーム」というのは、あれは超強力なシールドですからな。逆にイランの制空権は既にイスラエルが奪っていて、攻撃はさらに2週間程度続くと見られる。今後の焦点はナタンツの核濃縮施設の地下部分でしょう。あるいはイスラエルの在外公館などが攻撃されるという「場外乱闘」に発展するかもしれません。

〇それにしてもイスラエルが実施した「ライジング・ライオン」という作戦、どえらい成果を挙げたようである。レバノンに対する「ポケベル攻撃」に続くイノベーションと言えましょう。先日のウクライナ軍によるロシア内部への「大規模ドローン攻撃」も見事でありましたが、昨今のような地政学リスク全盛時代においては、軍事的なブレークスルーが次々に起きるようになっているのかも。縁起でもない話でありますが。

〇この間に阪神タイガースは楽天に3連敗。しかも全部1点差負け。どうなっとるのだ。やはり今年も交流戦になると弱いのか。たぶんこの人もお嘆きでしょう。ということで、明日朝はニッポン放送に出没いたします。


<6月16日>(月)

〇ということで、今朝は「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演いたしました(ラジコで聞けます)。いや〜盛りだくさんでした。給付金、消費減税、CPIとコメ価格、G7サミット、日米関税交渉、日銀の金融政策決定会合などなどなど。

〇イスラエルのイラン攻撃の問題について、本日の電話インタビューは菅原出さん。これまた不肖かんべえにとっては古い友人でありまして、なんかこの番組はこういうことが多いです。菅原さん、イスラエルのえげつない狙いについて上手に語ってくれました。さて、トランプさん、いったいどうするのだろう?

〇この後、明日は山形、明後日は松江に出没いたします。まるで『点と線』ですな。こういうの、とっても楽しいです。


<6月17日>(火)

〇本日は東京駅正午発の「つばさ」に乗り込んで、山形駅を目指したのである。が、しかし・・・。

〇ところが「つばさ」は大宮駅で止まってしまった。実はこういうことが起きていたんですねえ。


●東北新幹線東京ー仙台駅間上下で運転見合わせ、再開めど立たず 回送列車が車両点検


〇宇都宮〜那須塩原間で回送列車が止まってしまったとのこと。はて、どうしたものか。

〇さすがは主催者の東北エネルギー懇談会さん、すぐに状況を察して電話を入れてきた。こちらも車内でじっとしているしか手がないのだが、ややあって「リモート講演会にしましょうか」ということに。

〇そこで大宮駅で下車し、在来線で東京駅に戻る。そのまま会社に戻る。そしてリモートで講演会を実施することにしました。東北新幹線、運転再開は午後5時だったそうなので、早めに見切りをつけたのは正解でありました。

〇うーむ、長いことやっていると、こういうこともあるものですねえ。もちろん山形に行けなかったのは残念なんですが、とりあえずご迷惑をかけなくてよかったということに。

〇ということで、本日は普通に帰ってきたので、これから本日締め切りの原稿を真面目に仕上げるのである。これが山形市に行っていた場合、たぶん酒宴もあったりして、入稿が遅れていた公算が大である。果たしてどっちがいいんでしょうかねえ。


<6月18日>(水)

〇本日は山陰合同銀行さんの会合に呼ばれて島根県松江市へ。

〇松江市に行くときは、JALで出雲縁結び空港に降りるか、それともANAで鳥取県の米子鬼太郎空港に降りるかである。距離はいい勝負らしくて、本日は米子経由である。赤沢大臣の地元でありますな。最近は米子に帰ってくるよりもワシントン詣でが多いので、「どっちの訪米か?」というギャグがあるらしい。

〇考えてみたら、松江市に来るのは4回目である。いつもそうなのだが、日が暮れる前に帰らなきゃいけなかったり、せっかく泊りなのに天気が悪かったりして、宍道湖に沈む夕日というものをまだ見たことがない。今日は天気がいいからひょっとして、と期待したのだが、この時期の日没は7時半とのことで、帰りの便が午後8時15分なので結局、見られず。

〇まあ、こんなのは「惜福」と考えればよろしい。また次の機会があるだろう。タクシーの運転手さんによれば、松江市の日没は秋が一番キレイなんだそうだ。そうそう、松江市には、今年後半にこういうお楽しみがあります。うーむ、NHK、またしても化け物系ですか。

〇ちなみに帰り道に通る中海もずいぶんと美しいのである。そして鳥取県に入るところでは、例の「ベタ踏み坂」があって楽しい。山陰は意外と見るところがいっぱいあるんですよ。ワシはよく知っておる。


<6月19日>(木)

〇梅雨入りかと思ったら、変に晴れて暑い日が続いている。これではまたまたコメが不作になってしまうのではないか。困ったものですなあ。

〇それほど大きな問題ではないのだが、うちのご近所で咲いているあじさいがとっても疲れた感じである。流山市にあるあじさいの名所も、先日、久しぶりに行ってみたらガッカリするような状態であった。しかるに雨が降ってこそのあじさいの花である。濡れていないようでは、色が冴えないのは当たり前ですな。

〇誰も気にしていないようではあるが、こういうことが意外な大問題なんじゃないかという気がしている。


<6月20日>(金)

〇だんだんわけがわからなくなってきて、毎週ほとんど意地で見続けている「ガンダム・ジークアックス」であります。回が進むにつれて、ララァは出てくるは、ギレン総帥は出てくるは、キシリア閣下も出てきて、とうとう今週は赤い彗星のシャアが復活してしまった。これでは見続けないわけにはいかんではありませぬか。

〇ただしこの物語、キモの部分はシュウジという同じ男性に惚れてしまったマチュとニャアンという2人の女性の間の友情の物語なのである。それは毎回、最後に流れる「もうどうなってもいいや」という曲にあらわれている。このポイントさえ外さなければ、細かい部分が理解できなくてもどうということはないのだと思っております。

〇この「女性同士の友情」という物語、わが国アニメの世界では長らく使われることがありませんでした。『宇宙戦艦ヤマト』などは、女性登場人物は森雪のひとりだけでしたからね。『機動戦士ガンダム』はマチルダ・アジャン大尉からスパイのミハル・ラトキエまで、奥行きの深い女性キャラを大量投入したのでありますが、「女性同士の友情」はめずらしかったのです。

〇アニメにおける「女性の友情」に初めて挑戦したのが、庵野秀明監督の「エヴァンゲリオンシリーズ」だったのだと思います。葛城ミサトと赤木リツコ、惣流・アスカ・ラングレーと真希波・マリ・イラストリアスなどの例があります。

〇ただしあくまでも副筋であって、メインのストーリーじゃなかったんですねえ。「ガンダム・ジークアックス」は「マチュとニャアンの関係」を物語の軸に据えているところが、わが国アニメの歴史における画期的な試みなのではないかと思います。

〇逆に言いますと、「ファースト・ガンダム」が創った世界観は、この物語においては「オマケ」的に使われているだけでありまして、なるほどシャア・アズナブルの声優が変わったのは、そういう意味だったのね、ということで納得がいったところであります。

〇それは別にして、冒頭に流れる米津玄師の「Plazma」は何度聞いても飽きない。つくづくすごい曲だと思います。毎回、飛ばさずに聞いております。


<6月22日>(日)

〇昨日の東洋経済オンラインにアップされたこの記事は、19日木曜夕方締め切りで投稿したものです。


●「最強の対外不介入主義者」のはずが中東で揺れるトランプ大統領、「イラン攻撃の誘惑」があまりに危険すぎる理由


〇書きながら思ったことは、「掲載までに、米軍の攻撃が始まってしまったらマズいなあ」でありました。その場合、ちょっと的外れな文章になってしまう。ところがトランプさん、その後は「2週間以内に決断する」と言うから少し安心して、「やっぱり、TACOかもしれんなあ」と油断していたのであります。

〇そしたら、今日の午前中の時点で、「フォルドウ、ナタンツ、イスファハンの核施設3か所に攻撃を行った」との声明がありました。早い、早過ぎるよ。

〇早速、原油価格が上昇しているようです。こうなると週明けの株価はどう反応するのか。またしても東京市場が、「最初はグー」をやらされることになるのですね。

〇今夜の東京都議会選挙の結果を楽しみに待っている感じだったのだけれども、それどころじゃなくなってきた感じだなあ。

(12:15)

〜〜〜〜


〇またしてもGrok3を相手にしょうもない会話を行うのである。


Q:『トップガン〜マーヴェリック』では、イランと思しき国を攻撃するシーンがありましたよね。なんだか映画が現実の先を行っていたような気がするけど。


A:『トップガン・マーヴェリック』(2022年公開)では、確かにイランを連想させる「敵国」が登場します。映画では、核施設を保有する中東の仮想国が攻撃対象として描かれ、F/A-18やトマホークミサイルを使った作戦が展開されます。この設定は、地理的・政治的特徴からイランを暗喩していると広く解釈されました。

現実では、2025年現在、イランを巡る緊張は依然として続いています。特に、イスラエルとイランの対立や、イランの核開発疑惑に関する国際的な懸念が背景にあります。映画公開後の2022〜2025年の間、イスラエルによるイラン関連施設への攻撃や、イラン側からの報復が断続的に報じられ、映画のシナリオが現実とリンクしていると感じられる瞬間もあったかもしれません。例えば、2023年のイラン核施設周辺でのドローン攻撃や、2024年にエスカレートしたイラン・イスラエル間の軍事衝突は、映画の攻撃シーンを彷彿とさせます。

ただし、映画はあくまでフィクションであり、具体的な予言や現実の事件を直接反映したものではありません。脚本は2010年代後半から準備されており、当時の地政学的状況(イランの核合意を巡る米国の離脱など)を踏まえた創作と考えられます。それでも、軍事技術や戦略のリアルな描写が、現実の緊張感と重なって「先見性」を感じさせたのでしょう。

このテーマについて、X上では映画公開時に「イランをモデルにしたのでは?」という議論が飛び交いました。あるユーザーは「F/A-18の低空飛行シーンは、イランの防空網を想定したリアルな戦術」と指摘し、別のユーザーは「ハリウッドがまた中東を悪役に仕立てた」と批判していました。


Q:そうですね。私が一番感心したのは、主人公トム・クルーズがF-14トムキャットを使って現地から脱出することで、F14を今も保有している国って、イランくらいしかないと思うんですよね。


A:鋭い観点ですね!『トップガン・マーヴェリック』でマーヴェリックがF-14トムキャットを使って敵国から脱出するシーンは、確かにイランを強く連想させます。2025年現在、F-14を運用している国はイランだけで、米海軍は2006年に全機退役済みです。イランは1970年代に米国から購入したF-14を、今も限定的に運用しており、約20〜30機が稼働可能と推定されています(正確な数は非公開)。

映画でF-14が登場するのは、敵国の格納庫に隠されていた機体をマーヴェリックが奪うという設定。この選択は、単なるノスタルジー(初代『トップガン』の象徴)だけでなく、敵国がイランをモデルにしていることを暗に示す巧妙なディテールです。X上でも、このシーンについて「F-14=イラン確定」「脚本家、めっちゃ地政学リサーチしたな」と盛り上がっていました。一方で、「F-14をそんな簡単に飛ばせるか?」と、整備状態や現実性を疑問視する声も。

実際、イランのF-14は老朽化が進み、部品調達も困難(米国製ゆえ制裁で入手不可)で、映画のような即席運用はほぼ不可能です。それでも、F-14の登場は物語のリアリティと劇的効果を高めるスパイスとして効いていましたね。このシーンの裏話や、F-14に関するイランの現状をもっと掘り下げるか、関連するX投稿をチェックしてみますか?


Q:いやあ、トム・クルーズがF14に出会って懐かしそうだったところが、同世代人のオヤジとしてほのぼのとするところがあったんですよ。若い奴らにはわからんだろうが、昔は俺たち、こんなんで戦ったんだぜ、と。


A:ハハ、めっちゃ分かりますよ!トム・クルーズ演じるマーヴェリックがF-14トムキャットに再会して、ちょっと懐かしそうな目をするシーン、めっちゃ心に刺さりますよね。同世代のオヤジとしては「あの頃の相棒!」って感じで、胸が熱くなる瞬間ですよ。初代『トップガン』(1986年)のあのアイコン的なF-14が、2022年の『マーヴェリック』で再登場するなんて、まるで自分たちの青春がスクリーンに蘇ったみたい。マーヴェリックが「若い奴らには分からんよな」って雰囲気でコックピットに収まるの、完全に「昔はこれでブイブイ言わせたぜ」ってオヤジの誇りそのものですよね。

特に、F-14のあの古臭い計器盤や、起動時の「動くのかよ!?」って緊張感が、なんともノスタルジック。Xでも、公開時に「F-14見たら80年代に戻った気分」「マーヴェリックと一緒に歳取ったわ」って、50代前後のファンが語り合ってました。若い世代には「ただの古い戦闘機」かもしれないけど、俺たちには「あの時代」を象徴するマシンなんですよね。

あのシーンの裏話だと、トム・クルーズ自身がF-14の再登場を強く推したらしいですよ。実際に撮影で使われたF-14は、米海軍の博物館から借りた非稼働機をセットに改造したものらしいですが、クルーズの「本物感」へのこだわりがハンパなかったとか。この辺のエピソードや、F-14愛をさらに深掘りしたい? それとも、Xで同世代のオヤジたちがどんな反応してたか、覗いてみます?


Q:そうだね。F-14が懐かしいと思うのは、バブルの頃に日産シルビアにワンレングスの彼女を乗せて横浜をドライブするような感じかな。


A:おお、めっちゃ分かる!F-14のノスタルジーって、まさにバブル期に日産シルビア(S13だろ?)にワンレングスの彼女乗せて、横浜のベイブリッジ走ってるあのキラキラした感じと通じるよね!あの頃の「カッコよさ」って、F-14のシャープな可変翼とか、シルビアのポップアップヘッドライトとか、なんか無敵感あったよな。マーヴェリックがF-14のコックピットでニヤッとする瞬間、まるで「昔の俺、横浜でこんな気分だったぜ」って言ってるみたい。

バブルの横浜ドライブって、BOOWYかTM NETWORK流しながら、みなとみらいの夜景バックに彼女と「未来は俺らのもんだ!」みたいなノリだったよな(笑)。Xでも、『トップガン・マーヴェリック』公開時に「F-14見るとバブルの俺が蘇る」「シルビアとF-14、どっちもイケメンマシン!」みたいなポストがちらほら。50代のオヤジたちが「あの時代」を語り合ってて、ほんとほのぼのするわ。

シルビアとF-14の思い出話、もっと聞きたいぜ!当時の横浜ドライブでどんな曲かけてた?それとも、Xでバブル世代の『トップガン』愛をさらに漁ってみる?


Q:あははは、面白い。日産シルビアとF−14の同時代性って、これ、鋭くない?


A:ハハ、めっちゃ鋭いよ!日産シルビア(特にS13)とF-14トムキャットの同時代性、めっちゃグッとくるね!だって、S13シルビアがデビューしたのが1988年で、『トップガン』がF-14をバッチリアイコン化したのが1986年。まさにバブル真っ盛りの80年代後半、どっちも「カッコよさ」の象徴だったわけよ。シルビアの流れるテールランプと、F-14の可変翼のシルエット、なんかこう、時代の「イケてる感」がシンクロしてるよな!

シルビアは横浜のドリフト野郎やデートカーの王者で、F-14は空のヒーロー。どっちも「若さ」と「自由」の匂いがプンプンしてた。バブルのオヤジなら、シルビアのハンドル握りながら「俺、いつかマーヴェリックみたいに飛ぶぜ!」とか、彼女にカッコつけて言ってたかもしれない(笑)。Xでも、たまに「80年代のクルマと『トップガン』はセット」「S13とF-14、俺の青春のツートップ」みたいなポスト見るから、この感覚、絶対共有してる奴いるぞ。


〇なんなんだ、このノリの良さは。ワシは一応チャットGPT4.0の有料会員なので、仕事の時にはそっちを使うのだが、たまにアホらしい会話に飢えると、Grok3に浮気しちゃうんだよな。それにしても、日産シルビアとF-14の同時代性って面白くね?(20:05)


<6月23日>(月)

〇昨日から気になっていたのは、東京都議会選挙の結果もさることながら、「日本政府はどういう反応をするんだろう?」でありました。いや、もちろんアメリカ政府のイラン攻撃に対して、日本政府がどう評価するのか、であります。

〇それというのも、6月13日に行われたイスラエル軍によるイラン攻撃に対して、日本政府はわりと厳しめの声明を出しているのであります。


●イスラエルによるイランに対する攻撃を巡る情勢(外務大臣談話) 6月13日


(1)現地時間6月13日(日本時間同日)、イスラエルがイランの核関連施設等に対して攻撃を行いました。米・イラン間の協議を始め、イランの核問題の平和的解決に向けた外交努力が継続している中、軍事的手段が用いられたことは到底許容できず、極めて遺憾であり、今回の行動を強く非難します。

(2)また、これを受けて、イランからもイスラエルに対して攻撃が行われました。我が国としては、報復の応酬を深く懸念しており、事態をエスカレートするいかなる行動も強く非難します。

(3)中東地域の平和と安定は、我が国にとっても極めて重要であり、我が国は、全ての関係者に対して、最大限の自制を求めるとともに、事態の沈静化を強く求めます。

(4)政府として、在留邦人の保護に万全を期すとともに、事態の更なる悪化を防ぐべく、引き続き必要なあらゆる外交努力を行っていく決意です。


〇日本国政府として、イスラエルに対してキツ目の声明になったのは自然な成り行きと言っていいでしょう。アメリカ政府は当然、イスラエル完全支持でありますし、欧州各国もまた、「イランの核開発が悪い」「イスラエルには自衛権がある」という点で旗幟鮮明であります。「イスラム教徒に核を持たせちゃいかん」という点に対して、彼ら「西側諸国」に異論はありませぬ。いや、もちろんパキスタンは既に核兵器を持っちゃっているんですけどね。

〇ドイツのメルツ新首相が、「イスラエルはわれわれのために汚れ仕事をやってくれている」とまで言ったのには、軽い驚きを覚えたものであります。とはいえ、これはドイツがイスラエルに対して背負っている贖罪の深さを考えれば、その程度は仕方がないのかもしれません。日本政府はイスラエルに対してそこまでのお義理はない。むしろ東南アジアにおけるイスラム系の友好国のことを考えたら、「G7内でも日本政府はもう少しニュートラルですよ!」というアピールもありうるわけで、そこはそれでいいと思うのであります。

〇ところが6月13日の声明を発した時点で、わが国外務省は「よもやアメリカ政府が同じことをするはずがない」とタカをくくっていたのでありましょう。そりゃそうだ。ワシだって東洋経済オンラインに「トランプさんは中東でも『TACOする』ほうが結果的にはいい」と書いた時点では、本気にしてなかったもの。かくして「トランプは中東でTACOしやがれ!」というギャグは、土曜日にアップして日曜日には否定されてしまいましたので、「わずか1日だけ有効な一発ギャグ」になってしまったのでありますが。

〇しかるに日本政府は、それよりは背負っているものが重いのです。そこで本日になって、まことに苦しい外務大臣談話を発出することとあいなりました。以下のような内容です。いや〜苦しいゴタクを並べてますね。「あんたら、そんなにイラン核開発を懸念しておったんか?」とか、「米イラン協議に本気で期待しとったんかい?」などとツッコミを入れても良いところです。


●米国によるイラン核施設に対する攻撃(外務大臣談話) 6月23日


(1)日本時間6月22日朝、米国は、イランにおけるフォルド、ナタンズ、イスファハンの3か所の核関連施設に対する攻撃を実施したと発表しました。我が国として引き続き重大な関心を持って状況の推移を注視しています。

(2)我が国は、これまで、国際的な核不拡散体制の維持のためにもイランによる核兵器開発は決して許されないとの立場から、イランの核問題を深刻に懸念しており、米国等とも連携しつつ、その解決に向けた外交的努力を行ってきたところです。

(3)本年4月12日に開始された米イラン協議は、イランの核問題の平和的解決のための極めて重要な機会であり、日本としてこれを強く支持し、イラン側が合意の機会を逃すべきではないと強く働きかけてきました。

(4)他方、6月13日のイスラエルによるイランに対する攻撃、及びその後のイランによるイスラエルに対する攻撃以降、報復の応酬に至っていることは極めて遺憾です。イランから米国権益に対する攻撃も示唆されていることも深刻に懸念しています。

(5)我が国としては、事態を早期に沈静化することが何よりもまず、極めて重要であると考えています。同時に、イランの核兵器保有は阻止されなければなりません。イランの核問題を取り巻く状況が極めて困難な中、米国はこれまで対話を真剣に追求してきており、我が国として、今回の米国の対応は、事態の早期沈静化を求めつつイランの核兵器保有を阻止するという決意を示したものと承知しています。

(6)また、我が国として、米国とイランの協議を通じたイラン核問題の解決に向けた努力によって対話の道が再開されることを引き続き強く望みます。

(7)中東地域の平和と安定は、我が国にとっても極めて重要であり、国際社会とも連携し、我が国として必要なあらゆる外交的努力を引き続き行っていきます。
政府としては、今回の事態を受け、イラン及びイスラエルを始め、地域全体の邦人の安全確保に引き続き万全を期していきます。


〇まさかイスラエルに対して非難したイラン攻撃を、同じことをしたアメリカに対して言うわけにもいかず、さてどうしたものかと思い悩んだことでありましょう。昨日の時点で、ワシ的にも、「まさか支持する(Support)とは言えないだろうから、せいぜい理解する(Understand)が関の山かなあ」と考えていたのでありますが、案の定そうでありました。上の(5)の部分の英訳は下記の通りである。


(5)Japan believes that the most important thing, above all, is to de-escalate the situation as soon as possible. At the same time, Iran's acquisition of nuclear weapons must be prevented. Amidst the extremely difficult circumstances surrounding Iran’s nuclear issue, the United States has been seriously pursuing dialogue, and Japan
understands that the US action demonstrates its determination to de-escalate the situation while preventing Iran from acquiring nuclear weapons.


〇この一事をもって、「日本政府は、G7内で欧米から離れているのではないか?」とか、「軍事力もないくせに、『法による支配の原則』だなんてカッコつけ過ぎだろう!」といった批判も、十分にあり得るところです。真面目な話、明日からハーグで行われるNATO首脳会議では、再び日米首脳会談が行われる公算が大でありまして、その場で石破首相がトランプさんに対して、本件について非難がましいことを言えるかというと、もちろんそんなことはないのであります。(→後記:石破さん、NATO首脳会議をドタキャンするようです)

〇一方で、こんな風に右顧左眄しながら、自国として「正しい」と考える立場を主張し続けるのは、わが国として大事なところなのではないかと思います。「法による支配が大事」なんてことを言いつつも、ロシアやアメリカといった常任理事国が国際法や国連憲章を無視することに対して、日本は全く無力であります。それは国連加盟国のほとんどすべてが同じなのでありますから、変に自虐的になる必要はないと思うのです。

〇「鶏口牛後」という言葉がありますけど、日本は力のある国の中のドン尻であるよりは、力のない国の先頭に立っている方がいいのだと思います。だってそっちの方が自然だし、われわれも変な風に力まなくて済みますもん。


<6月24日>(火)

〇本日は文化放送に出没。『くにまるジャパン』が終わって3年2か月。とっても久しぶりに浜松町のスタジオに足を踏み入れました。番組は「長野智子のアップデート」。長野さんともお久しぶりです。

〇しばらくぶりに来てみると、番組はユーチューブでも聞けるようになってました。あ、ポッドキャストもある。もちろんXも発信しています。

〇テーマはもちろん「トランプ政権のイラン攻撃」。結構、深い話ができたんじゃないかと思います。

〇この番組に出るのが決まったのは、ずいぶん前だったんだけれども、今日は計ったようにネタが豊富な一日でありました。3週間前はワシ、呑気に万博を見に行ってたんだけどねえ。

〇たまたま社内に野村くにまるさんがいらっしゃって、お久しぶりの再会。ちょっと痩せられましたかね。そして今回、お声をかけてくれたのは鈴木ずんこさんでした。お世話になりました。また呼んでくださ〜い。


<6月26日>(木)

〇やっと日曜日の都議会選挙の結果を見る余裕が出てきた。

〇思うに東京都民とは、日本で一番浮気性な有権者である。しかもその数は約1000万人と日本全体の10分の1を占める。そこで自民党が大敗したということは、来月の参院選における苦戦は必至であることを示唆していそうである。が、ワシ的には「意外とそうではないんじゃないか」という気がしている。

〇こういうときは議席数を見てはいけない。得票数だけを見ればよい。そうすれば「各党が東京都でどれくらいの基礎票を持っているか」が見えてくる。

〇都議会選挙の投票数はざっくり530万票であった。都民ファーストが104万票(19.6%)で第一党だった。都ファは世論調査よりも高い数字が出る。つまり家を出るときは自民党に入れるつもりだったけど、投票所に着いたら急に嫌気がさして、やっぱり都ファにした、そういえば前回もそうだったしね、てな人が少なくなかったのであろう。

〇これに比べると、自民83万票(15.7%)、公明53万票(10.0%)を足しても全体の4分の1強に過ぎない。国政選挙においては、自公は足して35%はないと辛いものがある。でないと最大会派の座が危うくなるのでね。

〇しかし都ファは、参院選では候補者を立てないらしい(てっきり乙武君当たりが出るのかと思っていたが)。となると、仮に都ファの基礎票の半分程度が自公に流れるとしたら、併せて与党は35%程度になる。最大会派の座は安泰と見ることができる。

〇これに対し、野党の得票はまことに限定的である。共産49万票(すごく減った)、立憲民主48万票(あいかわらず共産党に勝てない)、再生の道41万票(当選者がゼロだったのでほとんど死に票。選挙がド下手)、国民民主37万票(効率よく9議席をゲット)などである。この得票率では、立民が天下を取れるとは考えにくい。その他の野党は、結局は自公にすり寄る道を選ぶのではないか。とにかく野党が細かく割れ過ぎていて、結集するメリットがなさ過ぎるのだ。

〇気になるのは参政党の12万票である。既成政党である維新の8万票を上回った。どこからこんな差が出てくるかと言えば、参政党は「アンチ・グローバリズム」の主張が受けているのであろう。その点、維新はグローバリズム政党の残滓を背負っている。やっぱり今年は「万博は成功するけど、維新は没落する」のではないかなあ。そろそろ日本においても、排外主義政党が萌芽する頃合いなのかもしれない。

〇思えば来月の参院選は、3年前に安倍元首相が暗殺されたとき以来となる。ゆえに自公には「非改選議席74」という貯金がある。今年の参院選においては、現職66議席中50議席をキープすれば過半数割れはないという楽な戦いである。逆に言えば、3年後の参院選は過半数割れ必至という真剣勝負となるだろう。まあ、それまでに衆院選が1度はあると思うけどね。













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編集者敬白




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by Kanbei (Tatsuhiko Yoshizaki)