<5月2日>(土)
〇今朝の日本経済新聞に出ていたこの記事が素晴らしい。
●競馬実況、声で紡いだ70年 手書き「塗り絵」令和へ継承 ラジオNIKKEI 競馬放送70周年
〇競馬の実況中継って、3人がかりでやっているのですね。つまり「実況」する人の横に「展開」の担当が居て、さらに後ろには「バックアップ」が立っている。ははあ、そうだったのですか。それを「藤原菜々花〜小塚歩〜小林雅巳」と聞くと、一気に距離が近づきます。毎週、誰かの声を聴いてますからね。
〇「実況中継をAIで出来ないのか?」とは、誰でも考えそうなことですが、やっぱり難しいらしいです。馬にGPSをつけて、位置を画像で表すところまでは既にやってますけれども、ゴール前で殺到するところになると、どうにもならないらしい。何しろ皆さんがおカネをかけてますから、間違いがあってはいけないし。
〇いつも感じることですが、短いレース中にアナウンサーがかならず全頭の名前を呼ぼうとする。馬券を買ってる側からすると、やっぱり自分の馬の名前が呼ばれないのは寂しいですからね。馬の関係者にとってはさらにその思いは強いでしょう。実況中継には、その手の「お約束」がいっぱい詰まっている。
〇結局、時間をかけてアナウンサーを育てていくしかない。それこそラジオNikkei(日経ラジオ社)のミッションというものでしょう。平日はマーケット情報で週末は競馬。前者はほかの会社でも務まるけれども、後者は代わりがおりませんからな。
〇そういえば小林雅巳アナは、先月末で日経ラジオ社は定年となって、今月からフリーだと聞きました。引き続き、小林さんの実況(「ゴ〜〜〜〜ルイン!」というあのコブシがたまらない!)を聞きたいものであります。
<5月4日>(月)
〇長年にわたって入ってきたプルデンシャル生命保険の「リタイアメントインカム」が満期になったので、本日、支払い手続きを行いました。いろいろ世間を騒がしている会社ではありますが、ウチ的には何事もなく、来月から年金を受け取ることになる予定です。担当の人はきわめてまっとうな方でした。
〇この商品、米ドル建ての商品がもっぱら人気になっておりまして、たぶんそっちの方がはるかに高利回りになったはずであります。とはいえ、これは今から20数年前に、日商岩井の退職金を減らさないようにという目的で始めた投資だったので、為替リスクをとらない形で運用してきました。今となっては、無事で何よりということになります。
〇このおカネは確定年金にして、年2回払いで受け取る予定です。これで向こう10年間、夏冬の「手当」が受け取れることになる。これまでのサラリーマン人生でほとんど縁がなかった「ボーナス」が発生することになるのがちょっとうれしい。
〇退職金とか養老保険というと、同世代の方の悲惨な話をよく聞くものです。とはいえ、金融リタラシーがどうこうという話を抜きにして、普通にやってればそんなに変なことにはならないはずなんです。なにしろ懸かっているのは、命の次に大事な「俺のカネ」。ちゃんと受け取って、有効に使ってあげないとね。そのためには長生きもしなきゃいけません。
<5月6日>(水)
〇今年は大きな予定のない大型連休でした。
●新しいブレザーを買って、古いヤツを資源ごみの日にまとめて捨てる。開放感あり。
――早速新しいのを着て外出から帰ってきて、仕付け糸がそのままになっていることに気が付く。ワシっていつもこんな風。
●子どもの日に孫が遊びに来てくれた。それはいいのだが、子どもの相手ってこんなに大変なものだっただろうか。疲れた。
――それにしても「ポケモン」は偉大である。今年で30周年になるというのに、子どもの心を見事に掴み続けておる。
●タイガースを応援する。ドラゴンズに2敗したのは想定外であったが、今日はしっかり高橋遥人が今年3度目の完封でしっかり抑えてくれた。
――佐藤輝明が目下3冠王である。本塁打と打点はともかく、あんなヒドイ三振をする選手が、打率が4割近いとはどういうことなのか。不思議だ。
●ネットフリックスで映画をいろいろ見る。なぜか駄作を見たときの方が満足度が高いのはなぜだろう?
――『燃えよ剣』(2021年)を映画館で見なかったのは正解であった。この映画、そもそも何を撮りたかったのだろう?
●少しだけ家で仕事をしていたら、とっても久しぶりに腰に来た。
――トランプ政権の発足と同時に始まった腰痛である。つまり10年来ということ。この痛み、医者は頼りにならぬのである。
<5月7日>(木)
〇以前の拙宅は、柏駅への「抜け道」として使われるために、しょっちゅうタクシーが通り抜けたものでありました。それが最近は滅多に通らなくなった。要は皆さんがカーナビを当てにして運転するから、「抜け道」という概念がなくなったようである。
〇それはまあ、結構なことなのだが、ワシ自身も新しい道を覚えなくなって久しい。最近はすべて記憶の範囲内ばかり走っているような気がする。たまにわからなくなったら、すぐにナビを選択してしまう。そしてナビを使って運転した道はすぐに忘れる。かくして技術は人を怠惰にし、どんどん能力を低下させていく。
〇今日乗ったタクシーなんて、若い運転手さんが「竹橋の如水会館」がわからなくて、「毎日新聞の横を入って」もダメ。うーむ、別に意地悪で言うのではないけれども、彼はこれからどうやって都内の道を覚えるのだろう。というか、そもそも覚える必要などないのかもしれない。
〇ホワイトカラーの世界も同様で、今の時代は若手を使うよりも、何でもAIに任せた方が早くて丁寧、なおかつどこからも不満が出ない。だったらわざわざ自分が「鬼軍曹」になる必要もないことになる。こういう時代に、自らの成長のために鍛えられたいという人はどうしたらいいのだろうか。
〇・・・てな話をしていたら、さる人いわく。「それはもう外国に行って苦労するしかない。きっと海外には、今でも『プラダを着た悪魔2』みたいな鬼上司とシゴキの世界があるに違いない」。まあ、それはそれでちょっとコワいか?
<5月9日>(土)
〇今週の仕事のご紹介。いつもの東洋経済オンラインです(競馬予想付き)。
●「トランプ王朝崩壊」のきっかけとなるのか?
5月19日のケンタッキー州予備選挙に大注目だ
〇ケンタッキー州予備選挙の最新情勢については、こちらのブルームバーグニュースが詳しく解説しています。
●「トランプ氏の呪縛」解けるか、共和現職の選挙戦が求心力問う一戦に
〇注目のひと、トーマス・マッシー下院議員が「元発明家」で、オタクっぽいエンジニア気質として描かれている部分が興味深いです。
〇ちなみに今週5月5日、インディアナ州で行われた予備選挙では、トランプさんに反旗を翻した現職候補のほとんどが「刺客」候補に敗れたとのこと。岩盤保守層のトランプ支持は、なおも強力な模様です。
●トランプ氏、共和党内の影響力は今なお強大
予備選で反旗翻した現職議員の公認阻止
〇この後の予備選日程はこんな感じで続きます。
5月5日(火) インディアナ州、オハイオ州
5月12日(火) ネブラスカ州、ウェストヴァージニア州
5月16日(土) ルイジアナ州
5月19日(火) アラバマ州、ジョージア州、アイダホ州、ケンタッキー州、オレゴン州、ペンシルベニア州
〇最後にこれは直接関係はないのですが、まあ、個人的な趣味ということで。
●「トランプ2.0のアメリカ」民主党編C 民主党流派の「内政」新分類学:「新世代」から「アバンダンス」まで
〇渡辺将人教授による「日米関係インサイト」への寄稿ですが、こういうのを読むと「アメリカは民主党も大変ですなあ」という気分になります。
<5月10日>(日)
〇連休中に『新幹線大爆破』の2025年版と1975年版の両方をネフリで見ました。この半世紀の間に、この国がどんなふうに変わったかを知る絶好の素材ではないかと思います。
〇2025年版はもちろん、1975年版の『大爆破』を現代風に焼き直したものである。なおかつ50年前の事件を取り込んでいて、前の事件の関係者が登場したりする。「年齢が合わねえじゃないか!」と突っ込みたくなるところもあるのだが、これはこれでよくできている。
〇もっとも両作品をこれから見るつもりだという方は、「ネタバレ」になる怖れがありますので、なるべくならこのままお立ち去り下さい。もっとも以下を読んでしまったために、どうしても見たくなってしまうかもしれませんが、その責任は取りかねますので、ご了承ください。
(1)新幹線:1975年版は国鉄の「ひかり」(東京〜博多)だが、2025年版はJR東日本の「はやぶさ」(新青森〜東京)である。
――当時は国鉄が撮影に協力してくれず、東京駅のシーンなどはゲリラ撮影だったそうである。さすがは昭和の活動屋、やることが半端ない。今回の「大爆破」では、JR東日本が「世界にトーホクを知ってもらおう!」と全面協力。もっともJR東海が難色を示したであろうことは、なんとなく伝わってくる。
(2)乗客:1975年版には車中に芸能人が乗っていたが、2025年版にはカリスマ・ユーチューバーが乗っている。
――これはなかなかの「ヒネリ」でした。2025年版はほかにもクセモノのお客が一杯乗っていて、「技能賞」を感じました。
(3)事件対応:1975年版は、政府がすぐに身代金を払おうとする。2025年版は、政府が最初から「テロリストとは取引しない」と宣言する。
――「人命は地球よりも重い」(福田赳夫首相)という、ダッカ・ハイジャック事件{1977年)を思い出しました。あれは今では考えられないことですなあ。
(4)続・事件対応:1975年版はなかなか乗客に「爆弾が仕掛けられた」とは教えない。2025年版はすぐに教えてしまう。
――この辺も当世風ですね。そもそも1970年代では、ガンだって本人には告知しませんでしたからねえ。
(5)犯人像:1975年版では、倒産した中小企業の社長+学生運動崩れ+沖縄出身の青年が犯人でした。それと同じでは2025年には何のリアリティもないので、工夫の感じられる犯人像とその動機をひねくりだしました。俳優さんの演技も含めて、お見事だったと思います。
――1975年と言えば「第1次オイルショック」の2年後で、「あさま山荘」事件の3年後で、「沖縄返還」の4年後ですからねえ。往時をしみじみと思い出しました。
(6)解決策:1975年版は、『ジャガーノート』(1974年)というパニック映画(ただし舞台は客船)の爆弾処理シーンを髣髴とさせる。2025年版には、『カサンドラ・クロス』(1976年)というパニック映画(これは舞台も鉄道)と類似するアイデアが使われている。
――ワシは70年代の映画はよく見たのだよ。なにしろティーンエイジャーだったからね。
(7)鉄道会社と警察と政府の関係:1975年版は滅茶苦茶である。警察の失態に国鉄は怒り心頭。なおかつ、政府の冷酷な決定に国鉄総裁は悶絶する。2025年版はその辺が上手に誤魔化してある。この辺は時代の気分というものですかねえ。
――鉄道会社は基本的に「いい人たち」に描かれています。当然ですよね。日本人、みんな鉄道が大好きなんですから。
<5月11日>(月)
〇今日は大阪経済大学へ。講義も4回目ともなると、通勤はかなり慣れてくる。今日のお昼は新大阪駅の美々卯で。大阪のお昼はやっぱりうどんですなあ。
〇通勤経路も慣れてきたから、乗り換えの際に電車のどのあたりに乗ればいいかがわかってきた。上新庄駅からの道順もさすがにもう迷わない。ふふふ、軽いぜ。
〇ところがですな、大教室に入って講義を始めようと思ったら、なぜか講師用PCからKVCという大経大のシステムに入れない。これがないと、事前に準備したパワポが呼び出せないのである。どうやらパスワードが間違っているらしい。はて、どうしたものか。
〇仕方がないから応援を呼んで、パスワードを替えてもらうなど大騒ぎをして、少々定刻から遅れて授業開始。いや〜、やっちまっただよ。
〇後になってから気が付いた。直前に大経大の給与システムに入ったのだが、そっちは職員IDが少しだけ違うのだ。ワシが間違えていたのは、パスワードではなくてIDの方であった。ああ、なんてお馬鹿な私。
〇やっぱり事故は「慣れてきた」ときに生じるものらしい。いかんですねえ。
〇あらためて家に帰ってからKVCにつないでみたら、ちゃんと入れた。あらためてメールを読んでみると、締め切りに遅れているものがあるらしい。果てさて、いろんなところでご迷惑をおかけしているのであった。
<5月12日>(火)
〇ホルムズ海峡封鎖でも、わが日本経済は先人たちが築き上げてくれた石油備蓄のお陰で、そんなに苦しまずに済んでいる。「こんなことでいいのか?」という気もするが、仮に現在の事態があと2か月くらいで片付いてくれたなら、日本としては「結果オーライ!」と言えることになる。それはそれで悪くはない結末ということになる。
〇それでは済まずに、事態が長期化して夏以降も続いた場合にどうなるかと言うと、そのときはアジア経済がエライことになっていて、世界中に「何とかしろ!」という声が満ち満ちていることであろう。俺は足が速いから、ライオンに食われるのは他人が先になるから大丈夫、と言ってるようなもので、「そんなことでいいのか?」という気もするが、東南アジアにはイスラム諸国も多いので、そこはそれ、アッラーの神の思し召しがあるかもしれない。
〇この間、日本政府はベトナムに貿易保険を供与して、石油の購入を側面支援したりしている。もちろん真水を投入したり、石油備蓄を分けてあげたりするわけではない。かといって陰徳を積んでいるわけでもなくて、医療用プラスチック機器などを同国から輸入している手前、「情けは人の為ならず、自分のためにやっている」に過ぎない。
〇思えば今から半世紀前の2度のオイルショックは、日本経済に途方もない衝撃を与えたのである。結果として当時の通産省はかなりの蛮勇をふるい、値上がりしている石油にさらに税金をかけて財源をひねくりだし、全国に巨大な石油備蓄基地を作りあげたのである。
〇それだけではなく、民間石油会社にも備蓄基地を作らせた。今の感覚だと「よくまあ、そんなことができたな」と感心するが、当時の石油はまだまだ統制商品。「お上」には威厳があったし、何しろ「石油の一滴は血の一滴」などと言って太平洋戦争を戦った世代がまだ健在であった。
〇しかしまあ、そんな記憶は間もなく消え去るわけでありまして、日本経済も「売り家と 唐様で書く 三代目」となっていくのかもしれぬ。ともあれ、あの頃の日本経済は逞しかったのだなあ、ということを思い知らされたのでありました。
<5月13日>(水)
〇(株)溜池通信の中間申告の納付を行う。
「法人税」 おおっ、これは手強い。
「地方法人税」 なんのこれしき。
「消費税及び地方消費税」 ぎゃあああああ。
「法人道府県民税・事業税・特別法人事業税」 むむむむむっ。
「法人市民税」 はぁ、はぁ、はぁ。
〇某メガバンクを使っておるので、全部まとめて支払いができればいいのであるが、柏市は振り込みができないことになっている。従って、法人市民税だけは、会社口座から実額を引き出して、近くにある千葉興業銀行の支店に行って、現金で納付しなければならない。
〇なんでこんな面倒なことになったのか、理由は昔聞いたような気がするのだが、忘れてしまった。ともあれ、わが社は何とかやっております。
〇・・・と思ったら、自宅に自動車税の納税通知書が届いていた。ぐふっ。
<5月15日>(金)
〇ふと思いついたこと。
〇いいお客さんと迷惑なお客さんは紙一重である。期待度が高過ぎると、ついつい行き過ぎることがあるんですよねえ。
〇いいお客さんよりもありがたいのは、粋なお客さんである。これは簡単ではありませんが、できればそういう境地を目指したいものであります。
<5月16日>(土)
〇本日は「モーサテサタデー」へ。この番組、従来は「盲点」となっていた金曜日のNY市場を伝えることを主目的に、この4月から土曜日の午前10時〜10時半という枠でテレビ東京がお送りしている。土曜日午前の番組ではあるけれども、「見ている視聴者層はモーサテに近い」とのこと。
〇それとは別に、以前からやっていた有料番組「モーサテプレミアム」の一環としての「モーサテサタデー」は、「モーサテサタデープレミアム」という名称になって、午前8時45分から放送している。おや、今朝のゲストは鈴木敏之さんでしたか。
〇ということで、昨日のNY市場は長期金利の上昇に伴って株価は下落となりました。そりゃあまあ、自然な流れでありまして、アメリカでは今週5月11日からIEEPA関税の払い戻しが始まっておるのです。既に国庫に入った1660億ドルの税収を、これから貿易業者さんたちに金利もつけて返還しなければならない。そして代わりの財源は見通しが立っていない。そりゃあ金利は上がりますわな。
〇アメリカ財政が危ないんですよ、という話は、これまでテレ東や溜池通信や東洋経済オンラインで何回取り上げたかわかりません。そのうちかなりの回数は「債務上限問題」に絡めたものでした。幸いなことに、債務上限は去年の7月に41.1兆ドルまで引き上げられておりまして、当分は大丈夫です。つまりイベントリスクとしての長期債務は、それほど心配する必要はありません。
〇ところが「締め切り」がないだけに、今度は慢性的な財政悪化がテーマになります。具体的に上げると、「米国債増発の常態化」→「インフレで金利上昇」→「利払いの急増」→「財政規律の喪失」→「高齢化によって社会保障コストも増加」→「ついでにイラン戦争の戦費も増加」などのファクターがぐるぐる回って、市場心理を冷やすということになりそうです。
〇もうちょっと補足しますと、今回のように「有事のドル買い」みたいなときには、従来であれば皆が米国債を買ってくれるので長期金利は自然と下がったのです。ところが今回のイラン戦争に伴う事態は、「戦費は日に日に増加」→「原油高でインフレも再燃」→「財政悪化で米国債増発」→「FRBも利下げはできない」てなことになります。つまり安全保障のコストがみんな借金で積みあがることになって、いわゆる「悪い金利上昇」になるのです。
〇必然的に米国債の発行元であるベッセント財務長官としては、「こりゃたまらんわ」ということになりますよね。今週の訪日の際には、日本側のいろんな人が叱られたという話が聞こえてきます。そらそうや。「金融正常化の遅れ、円安の放置、財政拡張主義」という今の路線は、アメリカから見れば危険過ぎますからね。なおかつ、やってる当事者たちがそのことに対して無自覚であるように見えますから。
〇しかるに日本でも超長期債の価格は不安定になっている。高債務国が発行する国債を、昔ほど気前よく買ってはくれなくなっているのですよね。「最近の日本経済新聞は、高市内閣に厳しいですねえ」みたいなことを言う人がいるそうですが、そらそうや。あんたが見えてないだけやがな。
<5月17日>(日)
〇あらららら。土曜日に行われたルイジアナ州予備選挙で、上院議員現職のビル・キャシディ氏が負けちゃいました。上位2人に残れず、決選投票には進めないことが判明しました。
●Sen.
Bill Cassidy loses Louisiana Republican Senate primary(Axios)
〇2021年の「1月6日事件」でトランプ大統領が弾劾裁判を受けたときに、キャシディ氏は賛成票を投じました。トランプさん、執念深く覚えていて、"Very
Disloyal"なキャシディを追い落とすように有権者に訴えかけていた。
〇今回の予備選挙は、ルイジアナ州としては50年ぶりに「クローズト・プライマリー」(共和党員だけの投票)で行われた。それは最初からキャシディ氏を落とすことを狙っての制度変更だったのでしょう。あな恐ろし。
〇こうなると19日のケンタッキー州曜日選挙も心配になってきます。かねて注目しているトーマス・マッシー下院議員は、政界入りする前は理系人材の「発明王」だったそうで、選挙に負けたら「そんときは田舎に帰って、また発明にいそしむさ」と言っているそうです。
〇ちなみにトランプさん、インディアナ州予備選挙でも「意趣返し」に成功しているので、ここまで2戦2勝0敗である。さて、どういうことになるのやら。
<5月18日>(月)
●高市首相「補正予算案の編成視野」 電気・ガス補助策検討、与党に要請(日本経済新聞)
高市早苗首相は18日、2026年度補正予算案の編成を視野に入れて財政上の措置の検討に入ったと明かした。月内にも編成の是非を判断する。首相官邸で同日開いた政府・与党連絡会議で、与党に夏の電気・ガス料金の補助策を検討するよう要請した。
首相は長引く中東情勢の混乱を踏まえ「経済活動や国民の暮らしに支障が生じないよう適切に判断し、必要に応じてタイムリーに対応する」と強調した。
そのうえで「補正予算の編成を含め、資金面の手当てを検討するよう(大型)連休前には事務方に、先週には片山さつき財務相に指示した」と発言した。「リスクの最小化の観点から万全の備えをとる」と説明した。
〇まことに興味深い展開となりました。総理総裁が「政局オンチ」でスケジュール感がないと、こういうことになってしまうのですね。
〇従来の永田町の常識から行けば、今のタイミングで補正予算を編成すれば、後半国会の日程はきわめてタイトになります。会期末は7月17日ですから残り2カ月もありません。文字通り時間との競争になるでしょう。
〇いや、確かにここで補正を打たなかったら、6月下旬には予備費が底をついてしまうので、ガソリン補助金がなくなります。ガソリンはいきなりリッター210円くらいに上昇します。それから、7〜9月の電気・ガス補助金の財源もありません。だから連休前までは「必要ない」と言っていた補正予算を、これからやりましょうという話になったわけ。
〇しかし今後の日程はまさに綱渡りとなります。
5月下旬:補正予算の編成指示
6月上旬:各省庁の要求取りまとめ、財務省案決定
6月中旬:閣議決定。補正予算案を国会に提出
6月下旬〜7月上旬:衆参予算委員会で激しい審議
7月17日:通常国会会期末
〇いや、国会の会期を延長してもいいのですが、その場合は電気・ガス補助金の施行も遅れることになります。そして7月中旬ともなると、今年も相当に暑くなっていることが予想されます。電気代はきっと大変なことになりますよ。
〇何より、補正予算編成を指示してしまうと、後半国会では首相肝いりの「国論を二分する政策」がほとんど時間切れでできなくなってしまうのです。いいんですかね?そんなことで。
・選択的夫婦別姓
・皇室典範改正
・憲法改正論議
・安保法制の追加整備
・移民・外国人政策
・防衛増税
・再エネ・GX負担
・再審法改正の深掘り
・SNS規制
・教育無償化財源論
〇かろうじてセーフになのは「国家情報局の創設」くらいでしょうか。これはまあ、イラン戦争の情勢分析もありますから、野党もあんまり反対はしないでしょう。今年7月には発足できるんじゃないかと思います。しかし「対外情報庁」はどうですかね。日本版CIAを創ることになるわけなので。
〇たぶん高市首相本人が、この辺の事情をあまり理解していないんじゃないかと思います。国会日程なんて、そんなのは技術論ですから、周囲の詳しい人に聴けばいいだけの話なんですが、そういうことを潔しとしない人なんですよね。「尊大な羞恥心と臆病な自尊心」(山月記)というフレーズを思い出します。てゆうか、インテリジェンスに関わる話を、メールでお尋ねしちゃいかんでしょう。
〇結果として何が起きるかと言うと、高市さんのコアな支持層が失望するんじゃないかと思います。憲法改正も皇室典範も、「風呂屋の釜」(湯うばっかし)になりますからね。そうでなくても、明日から韓国を訪問するということは、ちょっと深読みすれば「8月15日に靖国神社参拝はしません」と言っているようなものでありますから。
〇それだけだったらいいんですが、この日程で行くと6月の骨太方針と8月の成長戦略も中途半端なことになるでしょう。そんなのは当たり前で、補正予算を組むとなったら財務省の立場は強くなるんです。彼らは実務部隊ですからね。結果的に骨太方針は「財政節度に留意」ということになるでしょうし、成長戦略も「既存メニューの整理」ということになるのではありますまいか。リフレ派の皆さん、これはエライことですよ。
〇この結果、どういうことになるかというと、高市さんはコアな支持層を呼び戻すために、来月、エビアンで行われるG7サミットで存在感を発揮しよう、てなことになるんじゃないかと思います。ただし、議長国フランスはかなり明確に反米に舵を切っているし(というか、そうでなかったらフランス国民が離反するので)、風見鶏メローニ伊首相も微妙にトランプさんから距離を取り始めている。ハンガリー総選挙でオルバンが負けたこともあって、今の欧州はそんな雰囲気なんですよね。
〇てなことで、このタイミングで首相が補正予算編成を指示するというのは、上記のようなことを意味するのだと思います。ちゃんとわかっている萩生田さんは、「価格抑制の継続は無理がある」と助け舟を出しているのですが、あいにく重いお神輿には届いていないようです。知らんけど。
<5月19日>(火)
〇いよいよ本日は米中間選挙で6つの州の予備選挙が行われます。その中でも注目は「ケンタッキー第4区」の下院議員選挙。トーマス・マッシーが生き残れるかどうかが問われることになります。
●Trump's
revenge tour comes for Massie(トランプの復讐ツァーはマッシーを標的に)
〇結論:マッシー氏の敗北
は、トランプ氏に逆らうことの危険性について共和党員にさらなる警告を送ることになるだろう。また、大統領が抱える広範な政治的問題が、支持基盤における彼の影響力を弱めていないことを示すことになる。
「もし私が負ければ、ここで過半数を獲得し、ホワイトハウスを勝ち取るために結成された連合の大部分が、その権利を奪われることになるだろう」と、マッシー氏は先週、連邦議会議事堂で記者団に語った。
〇トランプ氏の目的は「復讐」です。ただし復讐に笑うものは、後に復讐に追われるものでもある。敗れた人は「無敵の議員」となり、任期いっぱいトランプ氏にとって「獅子身中の虫」になっていく怖れがある。おそらく近い時間帯に結論が出るでしょう。
<5月20日>(水)
〇注目のケンタッキー第4地区(KY−4)予備選挙の結果はこんな感じでありました。
| Candidate | Votes | PercentPct. |
| Ed Gallrein | 57,822 | +54.9% |
| Thomas Massie*incumbent | 47,539 | +45.1% |
〇哀れ、マッシー議員は10p差で敗北です。とはいえ、投票総数は10万票程度。同じタイミングで行われた民主党予備選挙は、3万票と1.1万票で決まっています。予備選挙って、この程度の票数で決まってしまうのであります。ケンタッキー州の人口は460万人も居るのでありますが。
〇これくらいの票数であれば、トランプさんの神通力が使える。日がなFOXニュースを見ているような共和党支持の高齢者が、「トランプを守らねば」と動いてくれるのである。史上最も高くついた下院予備選、とも言われていて、何しろトランプ大統領のPACが「3200万ドルの選挙費用」を投入している。加えて投票日直前には、ヘグセス国防長官が「個人として」地元に応援に入っている。
〇トランプさんの「復讐ツァー」は着実に効果を挙げている。共和党議員たちには「逆らっちゃいけない」というシグナルが送られていることになる。共和党はだんだん「トランプ私党」に近づきつつある。過去にも似たようなことはあったけど、それを避け続けてきた歴史があるんですけどね。
〇その一方で、現職の共和党議員の中には「無敵の人」が少しずつ増えている。つまり「俺はどうせ来期は出ないんだから、何も怖いことはないぜ」という人たちである。
*ミッチ・マコーネル(R-KY)・・・・年齢{84歳}を理由に今季で引退。
*ビル・キャシディ(R-LA)・・・・予備選で敗れたので次は出られない。自棄で何でもやりかねない状況。
*トム・ティリス(R-NC)・・・・不出馬宣言したので怖いものなし。上院銀行委員会では、パウエル議長を守るために貢献。
〇それ以外に、上院共和党にはもともと「反トランプ的」な2人の女性議員がいる。
*スーザン・コリンズ(R-MN)・・・・今年が改選。メイン州は「中道ノリ」が多いので、「トランプ支持」は本選においては「悪夢への片道切符」となる。
*リサ・マコウスキ(R-AK)・・・・改選は2028年。それまではとりあえず議席は安泰。せいぜいトランプ氏に意地悪をしてやるざんす。
〇上院は共和党53議席、民主党47議席なので、わずか3議席差である。今後の展開次第では、「大統領!議会がホワイトハウスの言うことを聞いてくれません!」という香ばしい状況が出現することになる。
〇復讐する者は復讐に泣く。とりあえず、アメリカ政治の状況はかなり複雑なようです。なにしろ中間選挙の本選挙では、無党派層の票を取らねばなりませんので。
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編集者敬白
●不規則発言のバックナンバー
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by Kanbei (Tatsuhiko
Yoshizaki)