<2月1日>(日)
〇最近の小ネタから。
〇その1。今年は厳冬で、豪雪地帯ではクルマの運転に苦労する話をよく聞きます。実は首都圏でも、商業車はスタッドレスタイヤに替えていることが多いので、道路が削れて「飛び石」が起きやすくなっているそうです。
〇道路を走行中に、車体に石がぶつかる「飛び石」。あれでフロントガラスを直撃されたりすると厄介です。最近の自動車部品は高品質なので、滅多なことでは割れないそうですけど、いざ直すとなると高くつくし、保険を使うかどうかも悩ましいところ。くれぐれもご注意を・・・と言っても、あれはなかなか避けられるものではありませんけどね。
〇その2。最近は新橋駅を使うことが多くなって、構内を通るたびに「あれって何だろう?」と思っていたのが、「カプセルトイショップ」である。要は「ガチャガチャ」をJR東日本が売ってるわけでありまして、秋葉原店などもあるんですね。
〇最近の「ガチャ」は本当に種類が増えていて、実は「第5次ブーム」が訪れているのだとか。「大人買い」をする人が増えていて、外国人観光客にも受けているそうです。考えてみたら、場所は取らないし、売り子は要らないし、宣伝はSNSで勝手に広がるし、現金商売だし、「売れ筋」がすぐにわかるから、なかなかに効率がいいビジネスですなあ。
〇その3。20代の頃から通っている赤坂の土佐料理「祢保希」(ねぼけ)。ここのクエ鍋というものを、初めて食べました。クエはスズキ目ハタ科でマハタ属だそうですが、幻の魚とも言われておりまして、確かに実物をみた記憶はありません。身がでっかくて、骨もぶっとくて、出汁がよく出てまことに美味でありました。
〇「クエとフグはどちらが旨いか」とはよく出てくる話であります。確かにフグはポン酢の味で食べているような感じになるけれども、クエは身自体に甘味があって、鍋比べならクエが上だと思いますな。ただしフグは一種の総合芸術みたいなところがありますから、ふぐ刺しや白子も含めてどうだ、と言われるとこれはまた勝負にならんわけでして。
〇その昔、とある場所で、「これ内緒だからね、書いちゃダメだよ」と言われて食べたフグの肝が、とっても美味だったことを突然思い出しました。いかんですねえ。
<2月2日>(月)
〇いろんな人の訃報が続きます。
●モーリー・ロバートソンさん(63歳)・・・ほぼ同じ世代の富山県関係者なので、いつかどこかで会うだろうと思っていたのに、一度もお目にかかることなく亡くなられました。会えば、きっと共通の知人や話題が一杯見つかったことでしょう。とりあえず、10代の頃に立山連峰を見ていたことだけは共通しているはず。
死因は食道癌というから、ぐっちーさん、山崎元さんと同じ。よくよく気を付けなければいけません。要するになかなか気づきにくく、なおかつ転移しやすい癌なのですね。胃カメラ検査、またやっておこうと思います。
●長谷川和彦さん(80歳)・・・監督として世に送った『青春の殺人者』(76年)『太陽を盗んだ男』(79年)は、いずれも素晴らしい映画でした。前者は何と30歳だった時の作品なんですな。水谷豊の演技、ゴダイゴの曲とともに細かい部分まで覚えています。近日中に柏シアターが遺作を上映してくれることに期待します。
これだけの才能が、その後、1本も映画を撮ることなく終わったのは、日本映画界の損失でありましょう。もっとも破滅型のキャラだったようですから、自業自得だったのかもしれませぬ。愛称が「ゴジ」でけんかっ早く、しょっちゅうゴールデン街で暴れていたとか。コンプラもパワハラもない、本当に楽しい時代でありましたなあ。
●落合信彦さん(84歳)・・・あいにく作品は一冊も読んでませんが、「インテリジェンス」なんて言葉がまだ浸透していなかった頃に、国際情勢モノで多くのファンを持っておられました。アサヒスーパードライのCMをよく覚えています。あれを見てチェチェン・イツァーに行こうと思っていたのに、まだ果たしておりませぬ。
思い出すのは当時、いしいひさいちが漫画でネタにしていたこと。落合氏がCIAがどうしたこうしたと語っていて、最後の落ちが「そこで彼らはドバイの公民館を完成させたのだ」。高野孟さんが当時、『インサイダー』で面白がっていたことを覚えています。時は流れて、今は息子さんの時代ですよね。
〇実は先月はウチの親戚にも物故者がおりまして、「ちゃんと会えるうちに会っておくべし」ということを身につまされました。合掌。
<2月3日>(火)
〇本日は茨城新聞政経懇話会で水戸市へ。
〇会場となったホテルザガーデン水戸さんの粋な計らいで、本日のお昼ご飯は「恵方巻」でした。さすがに1本丸ごとではなくて、ちゃんと切ってありましたけれども。
〇そうでなかったら、今日が2月3日であることもまったく気が付かないままに過ごしていたでしょう。お昼の講演会でランチが出る場所は多いですが、こう言ってはなんですけれども無難な箱弁当が多いです。そんな中にあって、こういう心遣いはありがたく感じます。
〇食べている最中に、「で、今年はどっちの方角を向けばいいんですか?」とホテルの方に伺いました。今年は南南東なんですね。ところが慣れない場所だけに方角がわからない。まあね、こういうのは縁起ものですから。
〇ということで、本日の講演会では「総選挙の最中だが、こんなに外交の話が出ない選挙戦でいいのかああああああ?」というお話をさせていただきました。ちょっと思考停止が過ぎてはいませんかねえ。
<2月4日>(水)
〇城崎に来ている。城崎というからには、兵庫県豊岡市の城崎温泉である。但馬地方を訪れるのはこれが初めてである。新幹線で京都駅まで来て、そこから山陰本線に乗り換えて「きのさき号」で到着する。山陰本線はここまでは電化されているが、鳥取県に向かうこの先はディーゼルとなるらしい。
〇こちらに来る途中で、志賀直哉『小僧の神様/城の崎にて』(新潮文庫)を読んできた。高校生のときに読んだはずだが、果てさてこんなに短い話であっただろうか。ちょっと意外感がある。心境小説であって、城崎温泉の情景や人物などはほとんど描かれていない。これでは何の参考にもならぬではないか。
〇『城の崎にて』という短編小説は、冒頭の書き出しが「山手線の電車に跳ね飛ばされて怪我をした、その後養生に、ひとりで但馬の城崎温泉へ出かけた」とある。そこで「自分」は生と死を見つめなおす体験をするのであるが、これは志賀直哉自身の経験をもとにしている。まことに簡潔な文体である。
〇志賀直哉が当地を訪れたのは1913年のことである。湯治は成功裏に終わり、健康を取り戻す。最後の部分で「三週間いて、自分は此処を去った」とある。その3年後に同人誌『白樺』に発表されたのが本作である。
〇城崎温泉は、629年にコウノトリが傷をいやしていることで発見されたという古い歴史を持つ。ところが1925年の北但馬地震で温泉街は全焼した。関東大震災の2年後のことである。現在の町並みはその後に再建されたものである。ワシが泊っている和風木造三階建の旅館も含めて、比較的新しいのである。
〇今の城崎温泉はインバウンドも多くて繁栄している。旅館はカニ尽くし料理が売りである。おそらく志賀直哉がこちらで3週間を過ごした頃には、カニなどを食べる余裕はなかったのではないか。果てさて、大正時代の湯治客たちは何を食べていたのだろう。誰か調べてくれませんかねえ。
〇そうそう、新潮文庫を読むときは、昔の本を探すよりは、新しいバージョンを買うといいみたいです。先日の『老人と海』もそうですが、訳が新しくなっていたり、旧仮名遣いが変わっていたりしますので。世の中は日進月歩なのでありますよ。
〇明日は神戸新聞主催、但馬政経懇話会の講師を務めます。
<2月5日>(木)
〇こちらで泊まった宿は木造三階建の由緒ある和風旅館「まつや」さんで、着いてそうそうにひと風呂浴びたのだが、内湯はさほど広くはなく、先客もおらずで独占状態であった。が、城崎においては外湯を巡り歩くのがデフォルトであって、旅館が内湯を作るようになったのは「北但馬地震」の後のことなのだそうだ。それどころか、「内湯など許すべからず」と当初は訴訟まで起きたとのこと。
〇ということで、城崎に来たからには、外湯を楽しまない手はない。本日は朝飯前に「一の湯」、朝飯後に「地蔵湯」さんを試してみました。いずれも広いです。しかも2階は休憩所が作ってあって、これがまことに贅沢な空間なのである。しかも懐かしや、コーヒー牛乳を売ってたりします。これ、若い人にはわからんだろうなあ。
〇外湯に出かけるときは、旅館の浴衣と雪駄で出かけるのが「正装」であります。朝の空気はちょっと寒いけど、まあ、思い切り温まってしまえばどうということはない。外国人観光客も多いです。
〇城崎では旅館に泊まると、「〇〇屋」と書かれたQRコードを発行してくれるので、それを使えばどこの外湯も無料で入れる。ちなみに全部で7つある外湯は、休みの日や時間帯が違ったりするので、「コンプリートしたい」と思ったらある程度、泊まらないと難しいみたいです。
〇こんな風に便利な外湯があると、地元民のおうちには「そもそも風呂がない」とか、「風呂があっても沸かすのがもったいない」ということになるらしい。もちろんおカネをかけて、温泉を家に引くこともできるらしいのですけどね。子どもさんたちが、学校帰りに「今日は××湯に集合な!」などと言い合っているそうですから、それくらい定着しているということです。
〇ところで、これから城崎温泉を訪れる方にアドバイスを一点。当地には「但馬こうのとり空港」がありまして、伊丹空港からJAL便が飛んでおりますが、欠航が多いので信頼性に欠けます。「帰りの便ならいいだろう」と思って予約を入れたのですが、午前中に欠航の知らせが来ました。今日なんて別に天気は悪くなかったのにねえ。
〇しょうがないから、帰りもJRになりまして、新幹線の中でこれを書いております。まあね、仕事ができるからこっちの方がいいのさっ。
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by Kanbei (Tatsuhiko
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