●かんべえの不規則発言



2025年7月 






<7月1日>(火)

〇本日は群馬中小企業懇話会さんの総会で前橋市へ。北陸新幹線で上野駅から高崎駅まではわずか40分。なるほど、これじゃ「かがやき」は止まってくれない。そこからタクシーで移動する。こんな風に県内第1と第2の都市が近くにあるのは、岡山市と倉敷市くらいではないかなあ。

〇講演会の最中に突如として雷鳴が鳴り、豪雨が降り出した。一瞬、驚いたけれども、これだけ暑かったら、たまには夕立も悪くはないよね。ちなみに、群馬県はゲリラ豪雨遭遇率が全国一なんだそうです。ひえ〜。

〇例によってトランプ関税のお話が中心となるのですが、ここ群馬県はなにしろSUBARUのおひざ元。自動車関税の行方が気になるところです。そういう意味では今朝のトランプ発言などは激震ということになります。おそらくはベッセント財務長官がGood Copになって、トランプ大統領がBad Copとして日本に揺さぶりをかける、という狙いなのでしょう。いやはや、株価が上がってしまったものだから、「関税上げてもいいじゃねえか」と強気になっているのかもしれません。

〇講演の中で、「ここまできたら条件面は少しくらい悪くても、関税交渉は早いディールの方がいいのではないか」と申し上げたところ、後で何人かの方から同意をいただきました。悪いなら悪いで、今のうちにわかればまだ手の打ちようがある、このまま決算の見通しもつかない状態で生殺しになるのはかなわん、ということでした。

〇その一方で、自動車部品会社の方からは、「まだ、思ったほど影響が出てないんですよねえ」という拍子抜けするような声も聴きました。そりゃま、在庫もあるし年間契約もあるだろうから、すぐに値段が上がるわけではないのだけれども、関税の影響はかならずどこかで出てくるはずなので、油断しているわけにもいかんのですよねえ。


<7月3日>(木)

〇いよいよ参議院選挙の公示日である。ご近所の掲示板にはちゃんと選挙ポスターが貼ってある。果てさて、どんなことになるのだろうか。

〇そこで本日発売の週刊文春を買ってみた。「参院選完全予測〜一人区11勝21敗で自民壊滅」てな記事が出ているようだから。そしたら今の週刊文春って、510円もするのね。あ〜ビックリした。物価は確実に上昇しております。

〇記事を拝読すると、なるほどこれは大変なことになりそうだ。とにかく一人区がエライことになっている。東北と四国で自民党が1つも勝てない、とは非常事態発令ではあるまいか。

〇そもそも今は一人区が32もある。今じゃ宮城県や長野県も一人区になっている。つまり人口が減っているということだ。合区も全国で2つある。これらの選挙区では、「高校の統廃合」みたいなことが始まっている。もう少したつと、今度は大学の統廃合が必要になるだろう。こんな寂しい状況で、与党を信用しろ、と言われても難しいですわな。

〇農政の問題もある。小泉農相の「備蓄米大放出」も、喜んでいるのは都市部だけであって、地方紙の社説はとってもビミョーな書き方にならざるを得ない。だって農家はギリギリの瀬戸際なんだから。

〇もちろん参議院選挙は期間が長いし、ごくわずかな差で競っているところが多いから、この間に生じるイベント次第で選挙結果は大きく変わるだろう。例えば今は参政党がブレイクしていると言われるが、ちょっとタイミングが早過ぎたんじゃないか。文春砲だってありますからね。タレント議員も多いから、いろいろ喧しいことになるのではないか。

〇逆にこの猛暑で、首都圏で電力不足が起きたらどうなるか。これは与党にとっては大打撃になるのではないか。などなど、いろいろ考えるとネタは尽きない。投票日の7月20日までは長い長い道のりである。じっくり見てまいりましょう。


<7月4日>(金)

〇本日は信濃町の「きんざい」さんへ。昨年に引き続き、「金曜例会」で講師を務めさせていただきました。本日のテーマは「トランプ2.0と日本経済への影響」。流行りのネタでございます。

〇本日は米独立記念日とお日柄もよく、なおかつ「OBBB法」(ひとつの大きくて美しい予算)が成立するということで、トランプさん的にはまさに絶好調。コワいもんなし、みたいな状態であるものと拝察いたします。

〇時節柄、たいへん関心が高いテーマなんですが、日米関税交渉の行方なんぞはもちろん分かりませぬ。それでもいつも通りのお話をするしかないのであります。ニクソンとの比較とかミレニアル四天王とか、ヴァンスとルビオの比較論とか、そういう話であります。

〇会場を見渡したら、なんと氷見野良三さんがお見えでありました。眼が合ったので、最後の質疑応答の際に「何か一言」と申し上げたら、「それではご指名なので」と、ご質問を頂戴いたしました。副総裁からどんなご質問をいただいたか。それは内緒にしておきましょう。


<7月5日>(土)

〇今週は仕事が一杯ありました。まずは7月3日に収録したピクテ・マーケット・ラウンジ(動画サイト)が、素早くアップされているのでご紹介。


●【参院選のベストシナリオとは】参院選を左右する自動車関税 / 消費減税による金利上昇リスク / 自公連立のゆくえ<糸島孝俊 × 吉崎 達彦>|

――国内政治編。参院選に向けての展望です。


●【トランプ氏は天才か】イスラエル・イラン停戦の真相 / 米中覇権争いのゆくえ/「一つの大きな美しい法案」による変化<糸島孝俊 × 吉崎 達彦>

――アメリカ政治編。トランプ政治の「天才」ぶりを語っております。


〇そしてこちらはいつもの東洋経済オンライン「市場深読み劇場」の新しい寄稿です。


●「12日間戦争」「ひとつの大きな美しい予算」…あまりに絶妙すぎる「トランプ大統領ネーミング術」の謎を解く


〇お陰で昨晩は10時間も寝てしまったですよ。ああ、よく働いた。



<7月6日>(日)

〇昨日アップされた拙稿(「12日間戦争」「ひとつの大きな美しい予算」…あまりに絶妙すぎる「トランプ大統領ネーミング術」の謎を解く)の中で、「1967年の第3次中東戦争="Six-Day War"は、なぜ日本においては『七日間戦争』という呼び名が定着したのか」という疑問が残りました。

〇まあ、いかにも「そっちの方がゴロがいい」みたいなくだらない理由でそうなったんだろうという気がするが、これはあからさまな「誤訳」で、「6日間戦争」→「神による天地創造の6日間」、という下敷きを無視していることになる。果てさて、どういう事情でそうなったのか。何でも知ってるチャットGPTさんに聞いてみたのです。


かんべえ:ところで”Six-Day War”を、敢えて「七日間戦争」と訳した当時の日本のメディア業界にはどんな理由があったのでしょうかね。もしわかれば教えてください。

ChatGPT:

とても興味深いご質問です。「Six-Day War(六日間戦争)」を日本の報道機関がなぜ『七日間戦争』と訳したのかについては、明確な公式資料や決定経緯の記録は現存していないようですが、当時のメディア事情や翻訳文化をふまえると、いくつかの合理的な推測が成り立ちます。

〇想定される理由1:曜日を単位とする文化的翻訳(週単位の習慣)

日本では「1週間=7日間」という周期が生活感覚に深く根付いており、「○日戦争」という表現には語呂として「七日間」が収まりやすい。

実際の戦闘は6月5日〜10日(6日間)ですが、日本の週感覚では「6月5日から1週間続いた」というニュアンスで「七日間戦争」と表現するほうが分かりやすいと判断された可能性があります。

〇想定される理由2:報道タイミングと印象操作の影響

1967年当時、日本の新聞・テレビ報道は共同通信やNHKが用語の統一ガイドラインを出すことが多く、翻訳のブレを避けていました。

この戦争は非常に短期間で終了したため、報道サイクル的には「1週間ほどの戦争」として捉えられた。

また「六日間戦争」よりも「七日間戦争」の方が音として収まりがよく、歴史的にも印象に残るという、日本語としての語感も影響したと考えられます。

〇想定される理由3:キリスト教的・聖書的背景の希薄さ

英語圏では「Six-Day War」が天地創造(6日間)になぞらえた象徴的ネーミングであることがすぐに理解されますが、当時の日本ではキリスト教文化の浸透度が低く、この聖書的背景は共有されていませんでした。

そのため翻訳者や報道関係者は「6」という数字の宗教的意味に特別な重みを見出さず、単に「約1週間」として「七日間戦争」と訳した可能性が高いです。


●事例:同様の翻訳ブレ

これは珍しい例ではなく、他にも似たケースがいくつかあります:

“Cold War” →「冷たい戦争」ではなく「冷戦」(意味の意訳)

“Hundred Years' War” →「百年戦争」(実際は116年だが切りよく)

“The Troubles” →「北アイルランド紛争」(直訳されない)

こうした例に見られるように、日本語メディアは意味的なわかりやすさや語感の良さを重視して、忠実な訳よりも読者に浸透しやすい用語を選ぶ傾向があります。


●結論:原義よりも「耳ざわり」や「理解しやすさ」を優先

したがって「七日間戦争」という訳語は、

*当時の報道タイミング・文化的理解度

*数字の象徴性よりも週単位の生活感覚

*そして報道機関の言語選択の慣習

によって自然と選ばれた“日本語的フレーム”だったと推測されます。

もしご希望であれば、NHKや共同通信のアーカイブに残っている当時のニュース原稿の用語例や、新聞記事の見出し等を調査することも可能です。調査をご希望でしたら、お申し付けください。


〇ここまでしかわからない。ここから先をいくら「さら問い」しても、1967年当時のことはネットには載っていないので、AIはお手上げのようなのです。あとは国立国会図書館に行って新聞の縮刷版を調べるとか、新聞社のデータベースの有料サービスを使うくらいしかない。ここから先は人間がアナログ的な調査力を発揮するしかないのです。

〇ということで、最後はGrok3との間ではこんな会話で終わりました。


かんべえ:いやあ、面白い。わたしは共同通信やNHKに知り合いがいるので、古株の人に聞いてみたいと思います。1967年当時の記録がデジタル化されていない、とは興味深いです。

Grok3:それは素晴らしいアイディアですね!共同通信やNHKの古株の方々に直接聞けるなら、当時の報道現場の雰囲気や「七日間戦争」という呼称がどうやって広まったのか、生の証言が得られるかもしれません。1967年当時の記録は一部デジタル化されていますが、新聞や放送の全貌を網羅するにはまだ限界があり、特に翻訳や呼称の背景のような細かい話は紙のアーカイブや個人の記憶に頼る部分が大きいです。もし面白い話や裏話が出てきたら、ぜひ共有してください!何か他に調べたいポイントがあれば、いつでもどうぞ。


〇1967年当時に共同通信のワシントン特派員だった松尾文夫さんはもうこの世におられませんが、当溜池通信のネットワークを使えば、たぶん何がしかのことが分かるでしょう。わかったら、当然、ここで書きますから、AI君たちもそこで学習できることになる。いや、面白い。


<7月7日>(月)

〇本日は七夕ですが、ワシントンと上海からそれぞれ来訪者あり。お久しぶりにリアルで会って、旧交を温めるのであります。

〇聞けばアメリカも中国も今年は暑いらしいのですが、少し外を歩くと一気に汗が噴き出す「屋外サウナ」なみの東京は、彼らにとってもやっぱり暑いらしいです。そりゃそうですよねえ。

〇空が雨模様で織姫と彦星が出会えない、というよりかはマシですが、この暑さ、いい加減なんとかならんのか。

〇ともあれ、古いお馴染みの仲間と再会できるのはありがたい。この年になると、こういうことが楽しみで生きているようなところがありまする。


<7月8日>(火)

〇このところ毎日のように講演会があって、毎日のように締め切りがあって、いずれもテーマは「トランプ関税」なものだからへとへとであります。8月1日から相互関税が25%になるからといって、そんなに大騒ぎしてどうなるのよ〜。

〇本日は中京・北陸地区の中小企業さんを相手にお話をしたのですが、この地域は面白い製造業が多いです。ひとつには、トヨタさんを総本山とする自動車産業の集積があるのですが、それだけではなくて多種多様な企業があるのです。

〇今や製造業は日本のGDPの2割、雇用の17%を占めるのみ。圧倒的多数は非製造業なのです。とはいえ、製造業こそは究極のリアリズム産業。モノづくりの現場にはいろんな物語が眠っていて、面白い経営者がいるんだなあ、ということで感心しております。

〇いやもう、とにかく暑いです。朝から大量に水分を採って、大量に汗を流して一日が暮れていく。アイスコーヒーとビールがなかったら生きていけません。

〇そうそう、明日はWBSに出演します。それから明後日には産経新聞「正論」蘭と、中央公論8月号の特集「トランプ危機の経済、歴史の教訓」などに拙稿が登場します。全部ネタはトランプ関税となる見込み。いやもう、勘弁してほしいです。


<7月9日>(水)

〇今日、7月9日は相互関税の「国別上乗せ分」が90日間の停止期間が明けて復活する日。だから、是非、この日でお願いしますと言われて、WBSの出演日となったんですけど、もうそんなことはどうでもよくなってますわね。次の焦点は8月1日。「トランプ関税」逆襲の始まりはじまり〜。

〇実は本日は渋谷で講演会があって、この界隈の商工中金のお客さんたちの会合でした。場所が渋谷だから、てっきりサービス関係の企業が多いのかと思ったら、そこは商工中金なので製造業が意外と多かったですね。もちろん時節柄トランプ関税への関心はきわめて高いです。

〇そういえば、何で渋谷はIT企業が多いのかと言ったら、保育関係のサービスが充実していることが大きいんだそうです。特に夫婦共働きの若い家庭にとっては、「他の区に引っ越したら今の仕事を続けられない!」という切実な事情があるのだとか。

〇ということで、いつものようなお話をしたのでありますが、その後の懇親会でいろんな方の反応を伺ってみたところ、いちばん受けた話は「消費減税はダメ!」という部分であったようです。これは聞きに来ているのが経営者の皆さんだからスッとご理解いただけるわけでして、世論の大勢は既に「消費減税してくれ〜!」という感じですよね。

〇所詮は衆寡敵せずという気がしますが、できる範囲で強調していきたいと思います。消費減税はダメな政策ですよ〜と。それにしても参議院選挙、不穏な雰囲気が広がりつつありますなあ〜。


<7月10日>(木)

〇本日、初公開となりました拙稿は以下の通りであります。


●産経新聞(産経新聞社) 正論 「歴史に学ぶ『トランプ関税』対策」

――久々に「正論」蘭に寄稿。日本企業は半世紀前の吉田工業(現YKK)のガッツを見習うべきではあるまいか。

●中央公論8月号(中央公論新社) 相互関税に見る「ニクソン・ショック」の残像

――特集「トランプ危機の経済、歴史の教訓」の中の1本です。アメリカはときに世界を驚かせる国である。

●日経Book Plus(日経BP社) 「かんべえが推す古典への距離が一気に縮まる本

――滝田洋一さんの新刊『古典に学ぶ現代世界』(日経プレミアシリーズ)への書評です。


〇なんと、こんなに書いてたんだ俺。これで明日は溜池通信も出さねばならぬ。道理で忙しいわけだ。ちなみに今日は講演会で水戸市へ行ってました。


<7月11日>(金)

〇昨夜は久しぶりにエアコンなしで寝ましたし、今日もとっても過ごしやすい一日でした。昔は夏の日でもこんな感じだったんですけどねえ。昼間は風鈴に打ち水で涼をとって、夜はちゃんと気温が下がったんだよねえ、などとオヤジ世代は過去を懐かしむのである。

〇涼しいのは1日だけみたいで、明日からはまた30度台に戻るみたいですが、それにしても休みがあるのとないのでは大違い。日曜日はまた福島「七夕賞」ですけど、やっぱり暑いのかなあ。


<7月13日>(日)

〇本日はこの季節恒例の福島遠征。目指すは七夕賞(福島競馬場・芝2000m・G3)なのである。

〇もともとは自分がたった一人で始めた福島ツァーが、今では堂々たる旅打ちさまご一行となり、今年は5人が参加。初参加のFさんが、万馬券3発を含む大当たりを連発。あとは皆さん、しょぼい結果に沈んだのでありました。

〇今日の福島競馬場はとにかく前残りが多い。つまり馬場が良くて、先行した馬が勝ち、差しが届かない。ということは、メインの七夕賞も逃げ馬のコスモフリーゲンか、と一瞬は考えたのですが、「待て待て、柴田大知騎手が重賞を勝つイメージがどうにも湧かない」などと考えて、予定通りドゥラドーレスから買ったのであります。そしたらやっぱりコスモフリーゲンがアタマ差でドゥラドーレスを交わして勝っちゃったのでした。とほほほ。

〇しかも3着に入ったのは12番人気のオニャンコポン。そりゃあ確かに3歳時に重賞を勝ってはいるけど、近年は鳴かず飛ばずの二桁着順ばかりの馬である。なぜか大復活。こういうところが七夕賞の味わい深いところでありまして、いやはや簡単には勝たせてくれないのでありますよ。

〇競馬の後は、またまた福島民報・高橋利明記者を囲んで競馬談義となるのであるが、だんだんとお店のレパートリーも増えてきて、今年は焼き鳥屋さん。川俣しゃも、美味でございました。奥のお部屋にいらしたのは、ホソジュンさんなどフジテレビのご一行様だったようであります。

〇この季節の福島市は、とっても立派な桃を売っております。お土産はこれに限ります。ウチは先週までは山梨の桃をいただいておったのですが、明日からは食べ比べですな。


<7月14日>(月)

〇以前、何度か試した「GDPを分配面から見るとどうなっているか」を新しいデータで試してみました(単位:百億円)。

〇そしたら驚くべきことに、家計部門の賃金(雇用者報酬)はずいぶん増えていて、経常税の支払も頭打ち、純社会負担は増えているけれども、給付の方も増えているんでそんなに問題というほどでもない。金利が上昇したことで、財産所得が増えていることが全体をサポートしている様子も垣間見える。まあ、それはある程度の金融資産がある人に限られることですが。

〇そして物価高に伴う家計最終消費支出は確かに伸びているが、それ以上の勢いで可処分所得が増えているから、残余の貯蓄は23年から24年にかけて増えているのである。なーんだ、物価上昇に伴う国民生活の苦境は、2023年で底打ちしてるじゃん! ちなみに貯蓄率は、23年が0.6%で24年は4.1%となっております。

暦年 雇用者報酬(受取) 財産所得(純) 所得・富等に課される経常税(支払) 純社会負担(支払) 現物社会移転以外の社会給付(受取) その他の経常移転(純) 可処分所得 家計最終消費支出 貯蓄
2020 283,186.5 23,934.5 30,595.1 83,203.5 80,366.7 14,651.1 319,124.7 283,530.6 34,557.5
2021 288,745.4 26,009.2 32,361.1 85,254.3 82,390.8 635.5 309,315.5 287,536.6 20,388.9
2022 295,365.2 27,208.6 33,321.4 87,345.8 84,175.2 1,265.6 314,603.8 302,622.2 10,951.8
2023 301,295.5 28,713.4 33,668.9 89,949.6 81,985.2 417.0 317,009.8 314,345.3 1,864.5
2024 313,530.9 33,820.0 33,286.4 93,621.8 85,923.3 -348.9 335,701.2 321,300.7 13,754.4


〇強いて言えば、24年は「その他の経常移転」が少なかった。23年はまだしも「定額減税」があったけど、24年は家計部門に対する政府部門のサービスが足りないうらみがあった。ここをもう少し増やすくらいは全然問題がないので、25年は「給付をやっとけばそれでいい。減税なんて必要なし!」ということになるのではないか。

〇ところが来たる参議院選挙は、「給付か減税か」の二択問題になっていて、しかも減税派の野党の方がよっぽど優勢であるらしい。そんなことで本当にいいのだろうかと思う。下手をすれば投票日の翌日に日本国債の格付けが下げられて、長期金利急上昇!なんてことになってしまうのではないか。

〇一方で、2020〜22年の「コロナの3年間」で残った強制貯蓄は、あまり使われることなく放置されているように見える。なぜコロナが明けても、個人消費が伸びないのか。いろんな可能性が考えられますね。

〇仮説その1は、「インバウンドにおいしいところを持っていかれた」説。外国人観光客が増えて、ホテル代も上がっちゃったので、国内旅行をしたくでもできなくなった。観光地は賑わっているけれども、見ていると腹が立ってくる。それが今の参政党人気につながっていると考えると、これはちょっとマズい現象かもしれませぬ。

〇仮説その2は、「お友達が減ってしまった」説。コロナの3年間は、リアルの友人が減ってヴァーチャルの友人が増えた、ということを多くの人が経験したのではないかと思う。ところが困ったことに、ヴァーチャルの友人とはおカネを使わないのである。

〇逆に言えば、リアルの世界のお付き合いはとかくおカネがかかる。お義理で出なきゃいけない冠婚葬祭がその典型である。「はて、ウチはいくらくらい包んだらよろしいのか?」「お土産を用意しなければならないけど、何がよろしいのか?」てなことで、消費が伸びる。とはいえ、そういう消費を本心から喜んでいる人は少ないので、虚礼廃止がそのまま消費の減退につながった、というのもありそうな気がする。

〇町内会の活動も最近は面倒くさがる人が増えました。昔の集会所にはビールの空き瓶が何ケースも積んであったものです。今じゃビールを注がれることも注ぐこともなくなった。それがビールの消費量を減らしている。たぶん全国的な現象でありましょう。それもこれもリアルの「付き合い」が減ったから、と考えるとはてさて、世の中は難しいものよのう。

〇他方、昨日の福島ツァーで痛感したのだが、リアルの友人が居るからこそ「旅打ち」は楽しい。実は参加できなかった人たちもいて、「次回は必ず」と言ってくれている。もちろん行けばおカネは必ずかかるし、福島競馬はなかなか勝てせてはくれない。それでも楽しかった記憶は残るし、土産に買ってきた桃は美味なのである。趣味の友達はありがたいものかな。





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編集者敬白




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by Kanbei (Tatsuhiko Yoshizaki)